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“懐かしい情景”を平面と立体を交えた作品に表現し続ける
起こし文作家 山岡進さん

2017年2月10日

“懐かしい情景”を平面と立体を交えた作品に表現し続ける起こし文作家 山岡進さん

今年3月で10周年を迎える東京ミッドタウンのWISE・WISE tools店。
その10周年を記念する作品を作っていただくことになったひとりが、
起こし文作家の山岡進さん。
実は、tools店の開店当初から作品を扱わせて頂いており、
今年で丸10年のおつきあいになります。
そんな山岡さんに、今回あらためて起こし文の製作にまつわるお話を
伺いに、東京の谷中銀座近くにある工房を訪ねました。


起こし文とは
『一言で言えば「和風3Dグリーティングカード」。
開くと和の風情が浮かび上がる紙製作品で、閉じれば封筒で贈れます。
懐かしい街並などを簡単に飾れる葉書タイプの起こし文もあります。』
(山岡進さんのホームページhttp://okoshibumi.2p5.jp/okoshibumi/top_okoshibumi.htmlより)


山岡進さん 略歴
1959年 東京根岸生まれ
1982年 桑沢デザイン研究所卒業
1999年 千疋屋ギャラリー第1回個展
2004年 NHKテレビ「おしゃれ工房」「いっと6けん」日本テレビ「ぶらり途中下車の旅」出演
2005年 「だれでもできる起こし文」出版
2011年 「街並はがき」が国土交通省観光庁主催「魅力ある日本のおみやげコンテスト2011」グランプリ受賞
2013年 銀座松屋第11回個展
現在   NHK文化センター講師 桑沢デザイン研究所非常勤講師




“起こし文”をはじめたきっかけは自身の結婚式
起こし文第1号作品「鳥居」 撮影:横尾創氏(ソーファイン)
起こし文第1号作品「鳥居」 撮影:横尾創氏(ソーファイン)
――:
本日はよろしくお願いいたします!

さっそくですが、「起こし文」第1号作品は、WISE・WISE tools店でも販売している作品「鳥居」だとお伺いしました。どんなきっかけで作ることに?
山岡:
そうそう、あれが第1号。
それまでは、「起こし絵」(立体絵画)を先にやってたんですよ。
起こし絵作品「麗」 撮影:横尾創氏(ソーファイン)
起こし絵作品「麗」 撮影:横尾創氏(ソーファイン)

起こし絵について
「先人達が作り上げてきたすばらしい物たちが、日々失われていく現代です。その記憶を身近に残しておこうと、額縁の中に、平面と立体を交じり合わせた手法で表現しました。
一見すると絵の様にも見えますが、実際に奥行のある三次元空間で表現されています。
内蔵された鏡がその立体感をさらに強調し、絵画の様に壁に掛けられます。
照明を内蔵した作品もあり、昼と夜の情景を味わえます。」
(山岡進さんのホームページhttp://okoshibumi.2p5.jp/okoshibumi/okoshie1_okoshibumi.htmlより)

山岡:
15年以上、工業デザインの事務所に働いてたんだけど、そのときに、ただ勤めて仕事をこなすだけじゃなくて、自分のものをやりたくって。
額の中に立体物を入れると面白そうだなって思って、それを作ってました。仕事から帰ってから、ぼちぼちね。

そんな頃、結婚することになって、(東京都文京区根津にある)根津神社で式をやって。
で、自分はデザインの仕事をしているから、やっぱりその、ただ普通のはがきで結婚式の案内を出すよりは、なにか作って出した方が、人も集まると思って。
根津神社に鳥居がいっぱいあるんで、それをモチーフに。
(根津神社の境内の中にある乙女稲荷神社には、見事な「千本鳥居」があります)
――:
じゃあ、結婚式の招待状として?
山岡:
そうそう、招待状です、あれ。
文字を書くスペースがあるでしょ。そこにメッセージを書いて。
そのときはまだ商品として量産する前だから、全部カミさんと一緒にカッターで切ってたから、あの鳥居を。
――:
奥様と一緒に作られたんですね!
山岡:
今販売しているものは鳥居が12個あるでしょ。
それがね、あの時はもっとあったんですよ。だから長かった。
外見同じだけど、鳥居の数が多かったから。
それを100通くらい作ったのかな。すごい数になった。
――:
100通も手作業で!?
山岡:
カミさんもそういうの好きだから、ほとんど切って作ってくれて。
そうやって作ってみたら好評で、こういうものを商品にできるよね、と思って。
それが紙製の作品をやるきっかけになったんですよ。

額縁の作品(起こし絵)は作っていきたいんだけど、結局、これを商品として販売していくのは大変で。
紙製の作品なら、量産できて商品として成り立つから。
それで、その2本立てでやろうってなんとなく決めたんですよね。

それから紙製作品を作りはじめたんだけど、これもやっぱり、切ったり貼ったりがあって組み立ては人間がやらなきゃいけないから、量産するのが結構大変。
それで、はがきで何かできないかなと思ったんですよ。
東京ミッドタウンのWISE・WISE tools店では海外のお客様にも大人気 /街並みはがきシリーズ
東京ミッドタウンのWISE・WISE tools店では海外のお客様にも大人気 /街並みはがきシリーズ
記憶に残したい“懐かしい街並み”が作品の題材に
山岡:
ポップアップカードには元々興味があって、はがき自体が立体になる製品はまだ見たことがなかった。
ただ似たような物として、例えば、はがきに乗り物のバスが展開図で描かれたもの。それを切り取って組み立てれば立体のバスになる、っていうようなものは見たことがあった。
ただ、切り取った紙を立体模型にするのではなく、はがき全体をそのまんま生かしたいな、って。

それと、昔から下町に住んでるんだけど、どんどん古い建物がなくなっていっちゃうじゃないですか。
で、なくなっちゃうとどんどん忘れていっちゃうから、形として残したいなっていうのもあったし。

で、それがあいまって、街並みはがきを作ることになったっていう。

まあ、結構そういう写真は撮りためてたんですよ、昔の街並みの。

線路の向こうの根岸っていうところで生まれて20代まで住んでて。
向こうにも割と古い家が残っているんだけど、谷中も結構残ってるんですよね、古い街並みが。結構空襲で焼けていない家もあるから。
それで、子供の時から谷中が好きで、自転車でよく来て写真撮ったりしてて。
山岡さんが昔から撮りためていたフィルム時代の写真
山岡さんが昔から撮りためていたフィルム時代の写真
――:
すごい数の写真ですね! 昔から撮りためていた写真ですか?
山岡:
フィルム時代のものなんですけど、こういうのをいっぱい撮っていたわけ。
――:
これは何年くらい前の?
山岡:
かなり前だよ。(写真のひとつを指して)この店はもうないよなぁ、飲み屋だったの、魚屋兼飲み屋。
――:
味わいのある写真ばかりですね!
山岡:
まだかろうじてあるよね、こういうような店って、下町には。
こういうのはとにかく好きだったから。こういう場所で育ったから。
モデルになったのは子供の頃にあった店や建物たち
山岡:
川越の写真もある。まだ若いときに、家族で川越に行った時に撮ったもの。
後になって川越の仕事やるなんて思いもしなかった。
(山岡さんは川越のご当地デザイン起こし文はがきも製作されています)

店に住居に、神社仏閣を撮ったのとか。谷中のも結構入ってる。

あ、それ! 床屋さんあるでしょ、街並みはがきの中に一個。あれのモデルになった店だよ。建物は今も残ってるけど、営業はもうしてないんだよ。
ここは、入り口で靴を脱いでスリッパ履いて、板の間でやってもらう店で。
――:
へぇ〜!
街並みはがき第3集「床屋」
街並みはがき第3集「床屋」
山岡:
あと、生まれた根岸っていう場所は、昔は花街だったんですよ。
芸者さんがいて、遊ぶお茶屋さんとかがあるわけ。
そういう場所だったんだよ、根岸って。
もう今はないけどね。大人が遊ぶ街だった、規模は小さいけど。

あの、街並みはがきの中に「料亭」ってあるでしょ、黒板塀が描かれている。
ああいう風情がその当時には残ってました。
子供の時はそういう場所だなんて知らないから、なんで大人たちはこの中で大騒ぎしてるんだろうって思ってた。三味線とかもよく聴こえてたよ。そういう、風流な文化があったみたい、もともと根岸って場所は江戸時代には別荘地だったらしいし。
街並みはがき第1集「料亭」
街並みはがき第1集「料亭」
山岡:
で、それはまあ、根岸の話で。
谷中の方は、根岸よりももっとこう、古いものが残ってる。
ほら、寺町だからお寺がいっぱいあるでしょ。
あんまり風景が変わらないんだよ、なかなか。
そういうものを残したいっていう気風もあって、それで割と古いものが残っているから、いいよなぁと思って。こっちには子供の頃から偵察しに来てた。(笑)

でまぁ、将来、こっちに住みたいなとは思ってた。
だから、結婚を機会にこっちに住んだんです。
――:
根岸から谷中までは近いんですか?
山岡:
近い近い。歩いて15分くらい。
あと、谷中には昔、川が流れてたんだよね。あのへび道の地図見た?
「へび道」の名の通り、クネクネとした曲がり道が続く路地があります
――:
へび道、知ってます。
山岡:
へび道って、あれ川なんですよ、もともと。
で、川があると昔ってだいたい、その付近に染物屋があるんだよね。
それでわりと染物屋関連の店が何軒かあって。
――:
そうなんですか!
山岡:
うん。根岸にも昔、川が流れてたらしいから、染物屋があるよ。
ほら、あの落語の林家一門とかが作ってもらってる「海老屋」さん。
昔ビートルズが来日した時の写真とか見たことある?
彼らが着てたあの法被(はっぴ)は、そこで作ったらしい。

この辺りはわりと老舗があって、そういうのいろいろ調べると面白いよ。
こういう地形だからこういう店があるとかさ、いろいろ出てくるんだよ、歴史が。
街並みはがき第2集「染め物屋」
街並みはがき第2集「染め物屋」
――:
へぇ〜、面白いですね! ところで、へび道は川をつぶしちゃったんですか?
山岡:
暗渠(あんきょ)っていって、ほら、地下に埋設して。
川の上に蓋しちゃったってことだよね。で、もう道路になっちゃったと。
だから、今は下水として流れているんじゃない?

こういうクネクネ道って大概昔は川だったみたい。
だから、「なんでこんな場所が“〇〇橋”って地名になってるんだろう」っていうことあるでしょ?
あれは結局、昔そこに川が流れてたってことだよね。
下町の荒物屋
下町の荒物屋
山岡:
雑貨屋、むかしは荒物屋って言ってた。
こういうの、どんどんなくなっちゃうよね。
何年かぶりにそこにいったらね、もうなくてさ、別の建物が建ってたりして。
あれここ何が建ってたんだっけって、もう思い出せないのが寂しいし恐ろしい。
街並みはがき第3集「荒物屋」
街並みはがき第3集「荒物屋」
山岡:
こういう銭湯とか、今ほとんどないよね。子供の時は15円くらいだったよ、銭湯の料金。
――:
安いですね!
山岡:
小人、中人、大人、っていう料金区分だった。
街並みはがき第1集「銭湯」
街並みはがき第1集「銭湯」
山岡:
まぁ、そういう、子供の頃の記憶を失くしたくないというか。
昔はよかったみたいな話になっちゃうけどさ。
各地から製作依頼が届くご当地デザインの起こし文はがき
山岡:
東京にある江戸東京たてもの園とか、あそこも結構古い建物を移築して残してるじゃないですか。
その江戸東京たてもの園でね、ご当地デザインの製作の話が来たことがあったんだよね。
ああいう園内の古い建物を起こし文はがきにして販売したら絶対いいよねって話になって。
だけど、建物の著作権みたいな話になっちゃって、それ以上進まなかった。
だから結局、あそこでは通常の「街並みはがき」を置いてもらってます。
――:
建物の著作権ってあるんですね。
山岡:
結局誰のものだって話になって。住んでいた人なのか、別のとこなのかとか。
――:
WISE・WISE tools店ではご当地デザインの川越はがきも扱わせて頂いてますが、そちらの方は?
山岡:
あれは川越の紙問屋さんからの注文です。
街並みはがきをその人がどこかで見たんだね。それで、川越のお土産にしたいって。
建物の著作権とか許可申請は全部、その人がやってくれました。
WISE・WISE tools店でも老若男女問わずお土産として人気です /街並はがき「川越版」
WISE・WISE tools店でも老若男女問わずお土産として人気です /街並はがき「川越版」
山岡:
川越でいうと一番最近作ったのって、はがきではないけど、お祭りの山車(だし)の起こし文。
あそこってお祭りの山車がすごいんですよ。
最近、こういう日本の祭り、山車とかがユネスコの無形文化遺産に登録されたでしょ。
それでまあ、注目されるいい機会だし、タイミング的にはいいよね。
これも実在のものを、忠実に描いてるんだよ。
――:
依頼を受けてこういう風にしてくださいっていうのと、自分でオリジナルで作るものと、何か違いがあったりしますか?
山岡:
まあ、依頼を受けるのはもう、十中八九、実在ものだから。そこのお土産にしたいっていう。
だから実際そこへ行って、いろいろ見て、できる限り再現する。
自分のオリジナルのやつはもう、好き勝手に出来る。そういう違いがあります。
街並みはがきの店や建物は実在する?
――:
ちなみに「駅舎」(街並みはがき 第4集)とかは、昔の建物だから著作権とかは大丈夫だったんですか?
山岡:
これ、架空の駅なんですよ。よく見るとこれ、“日暮駅”になってるでしょ。
――:
あっ、ほんとだ!日暮里駅じゃない(笑)
街並みはがき第4集「駅舎」
街並みはがき第4集「駅舎」
山岡:
そう、架空なんですよ、全部。
最初の「書店」ていうやつだけ、武藤書店っていう、谷中銀座にある実際の本屋さん。
あとはみんなこれ、架空。新作の「谷中はがき」は、ちゃんと実在してます。
架空だからわりとそういうの気にせず、好きなように作れる。
でもだいたい買う人は、「これどこにあったの?」って感じで実在のものだと勝手に思ってる人が多いから、いちいち否定してられないけど(笑)

日暮駅も、それ、もうちょっと本当の日暮里駅らしくしようかなと思ったんだけど、資料があんまり残ってなかったから。
この窓だけは、写真で残っていたものに合わせました。
――:
山岡さんの作品はどれも、日常の一瞬を切り取ったような、人の暮らしや生き物の気配がしますよね。
山岡:
建物だけじゃなく、なんていうの、そういうおでん屋(日暮駅の隣に描かれている)とか、物干しに干してある足袋とか、そういう生活感を入れたいんですよね。また、入れた方が味わいが出てくるから。

最初これを作ろうとした時は、建物をはがきにして売れるのかなと不安だったよね。
いったい誰が買うんだろうって。でも売ってみたら以外に買ってくれる。
はじめは、昔を知っている人が、みんな懐かしさで買ってくれてると思ってた。
だけど、意外と若い子も、昔を知らないはずなのに買ってくれるよ。「なんか可愛い」って。
作品にたくさん猫が登場するワケ
――:
生き物の気配といえば、作品に猫がいっぱい登場するのは、やっぱり谷中の街に猫がたくさんいるからですか?
(谷中は猫の街としても有名なんです!)
山岡:
結局ね、絵として猫って(屋根とか塀の上とか)どこにでも置けるでしょ。犬は置けない。
で、やっぱり動物がいた方が動きが出るし、買う人もやっぱり好きな人多いし。
でも、猫嫌いっていう人もいるけどね。「私、猫嫌いなのよ〜」って。
だからそういう人用に犬と猫を一緒に描いておく(笑)とか。
――:
なるほど(笑)
山岡:
「軽食堂」(街並はがき 第4集)のは、昭和の犬だから痩せてるでしょ。お腹が空いてた時代って設定だから。
「駅舎(左)」(街並はがき 第4集)の犬は、駅だからハチ公みたいに主人を待ってるところにしたり。
街並はがきに登場する動物たち
街並はがきに登場する動物たち


これから作ってみたい街並みは?
――:
これからデザインしてみたいなと思っているものはありますか?
山岡:
これ(街並みはがき)も、もう1集くらい作りたいなと思ってるんだけど、今ちょっと時間なくて。
まだほら、作ってない店いろいろあるじゃない。
洋食屋さんとか喫茶店がないんだよ。あと花屋さんとか。
やっぱりこれ買う人って、女性の方が多いよね。
だから女性が好きそうな花屋さんとか作ろうかな、と思ってるんだけど。

はがきになっているから、例えばこれでおじいちゃんにはがきを出そうとかってなるでしょ。
なんていうか飾るだけじゃなく道具みたいな、そういう「用途」があると手に取ってもらいやすいよね。

うちらみたいな個人規模だと紙ものが一番やりやすいから、はがき以外でも紙でなんかもっと面白いものないかなって、絶えず探してるんだけど、なかなか見つからないよね。


デザインの仕事をする父親をそばで見ていた子供時代
――:
デザインへの興味はいつ頃から?
山岡:
やっぱり、父親がデザイン的な仕事をしてたんですよ。今でいうグラフィックデザイン。
業界新聞てあるでしょ、いろんな。金物業界とか文房具業界とか。
そういう媒体に、メーカーが広告を載せたい時、その紙面広告の製作を頼まれる。字も全部手で描くの。
昔はほら、ワープロさえもない時代だから、広告紙面の全てを紙の上に描いてた。
本文の文字とかは活字で出来るけど、でっかい文字になると、活字なんかないから、描くしかないんだよね。他に写真撮影もしてた。

一番のメインのお客さんが、ゴム製品作ってた会社で。
例えば椅子の足にかぶせるゴムカバーとかさ、そういう製品のメーカーで。
それで、俺とか妹が結構写真のモデルになって。
子供なんだけど、大人の恰好して眼鏡かけて、ソファに座ってポーズとって、とかさ(笑)
そういう生活シーンの写真でモデルを頼まれたり。
そうした写真が残ってるよ。それが当時の実際の広告に使われちゃってる(笑)
お父様の広告用写真のモデルをする子供時代の山岡さんと妹さん /提供:山岡進氏
お父様の広告用写真のモデルをする子供時代の山岡さんと妹さん /提供:山岡進氏
山岡:
で、そういう、父親のデザインの仕事を子供の頃から見てたからさ。こっちの道に来ちゃったっていう。
とにかくいつも家で仕事してたから。俺が学校から帰ると、父親は机に向かって仕事してて、 俺は脇に座ってずーっと見てたんですよ。
――:
子供の頃からデザインの仕事を間近に見てきたんですね。
山岡:
そうそう、これを見せようと思ってたんだよ。
――:
わぁ、たくさんのはがきがファイリングされてますね!
山岡:
これ、年賀状なんだよ。それは1971年、丑年。12歳のときの。
エアブラシでシューッと。親父がそういうの持ってたから、道具を貸してもらってやった。

それは東海道五拾三次の絵を自分なりにアレンジして描いたもの。
最近また復活してるみたいだけど、永谷園の「お茶づけ海苔」ってあるじゃない。
あれに東海道五拾三次のカードがおまけで入ってて。
それが結構好きでさ、子供の頃集めてた。その影響もあって。
――:
上手いですね!これは中学生の頃ですか?
山岡さんの子供時代からの年賀状。様々な技法で描かれています。
山岡さんの子供時代からの年賀状。様々な技法で描かれています。
山岡:
1972年だから中1。そっちが中2で。
――:
子供の頃からこんなに絵が上手だったんですね!
山岡:
今でいうプリントごっこみたいなやつがあって。謄写版の応用製品だよね。
木版のもあるよ。 そっちは紙を置いてスプレーでシューッとやったり。
――:
いろんな描き方をされてるんですね。道具はお父様のを?
山岡:
いっぱいあったからね、もう借り放題。エアブラシとかコピー機だって、いろんなものがあった。シルクスクリーンもやった。
それから、糊のっけて後で洗い流すみたいな染めの方法とか。
針金とか組み紐とかを置いてコピーとったりとかも。
――:
毎年凝ってますね〜。
山岡:
親父が毎年ちゃんと年賀状作ってたから、それでやっぱり面白いなって。
これは父親の年賀状。原画は鉛筆かなんかで描いて、それをセピア色でコピーしたやつにパステルで色を乗っけてたりしてた。
――:
素敵ですね!
山岡さんのお父様が描かれた年賀状
山岡さんのお父様が描かれた年賀状


山岡さんとワイス・ワイス トゥールスの出会い
――:
話が変わりますが、山岡さんの作品を弊社ワイス・ワイスで扱わせていただくことになったきっかけは?
山岡:
それは長谷川さんからですよ。(WISE・WISE tools店の立ち上げから携わっている弊社スタッフ)
当時NHKのおしゃれ工房っていう番組があって。
それで起こし文を取り上げてくれて、テレビで何回かやったんですよね。
で、それを見た長谷川さんが連絡してきたの、うちの店で扱わせてって。

ところで、その番組は連動したテキストも出していて、それに作品の作り方や型紙がついてるんだけど、これ大変なんですよ。
テレビ番組の撮影とテキストの撮影を両方やらなきゃいけないでしょ。
で、やっぱり1日で撮影しちゃいたいから、ある段階まで出来てるもの、またその次の段階まで出来てるものって、料理番組じゃないけど、作り方の工程ごとに全部用意しなきゃいけないから、大変で。
――:
この雑誌に載ってる作品って今は作っていないんですか?
山岡:
これは量産してないんです。
だから、起こし文教室の時に題材にするとか、個展の時に飾りにするとか、その程度だね。
結局、これだけいろんな種類を量産はできないもん。
スタッフいっぱいいるならいいけど、カミさんと二人でしょ。
なんていうの、作り方考えて、量産向けにデザインし直さない限り、商品にはしにくい。
でも、そうしちゃうと、だんだん面白くなくなっちゃうんだよ。
そこが難しいよね、手作り感をどこまで残すかが。
雑誌 おしゃれ工房に掲載された山岡さんの起こし文
山岡:
ちなみに、その作品、穴が開いてるところに後ろから光を当てるとお月様がでてくるんだよ。
青色の紙に穴が開いてて、そこに白い和紙をのっけるから、後ろに光源があれば透けて月に見える。

で、このとき俺がなんかヘマしちゃって、型紙がどっか間違ったままテキストに載っちゃってさ。
番組の冒頭に、どうもすいませんでしたって、出演者みんなで頭下げたっていうのがあったなぁ(笑)

その番組を見て、長谷川さんがNHKに問い合わせて連絡してきたのが始まりだよね。
――:
そこからすぐに取り扱わせて頂くことに?
山岡:
そう。WISE・WISE tools店が開店のときだから、それでやっぱりいろんな商材が欲しかったみたいで。他にないものをって。
で俺、その時は他の店に作品をあまり出してなくて、地元で売ってたくらいだったから。それ以来だよね。
――:
じゃあ、ほんとにもう丸10年なんですね、おつきあいが。
山岡:
そうそう、おかげさまでお世話にってます(笑)そうなんですよ、長いよね。


昔のアルバイト仲間が再びなくてはならない仕事仲間に
山岡:
あと、立体カードをやり出せたのは、友達に抜き屋さんがいたからなんですよ。
抜き型で紙をバンッて抜いてく加工業なんだけど。
彼とは学生時代にアルバイトで知り合って。
そのあとずっと音信不通だったけど、ある時こういうのやってるやつだってわかって。で、彼に話を持っていった。
今2代目で社長やっていて、割と細かい注文も聞いてくれる(笑)

抜き型って、ベニヤの厚い板に、紙を抜いたり折り筋をつけるための形の刃を埋めていくんだよね。
その刃をつくるのはまた、専門の別の職人さんがいるんだけど。

抜き型は、厚いベニヤ板に、埋める刃の厚み分を糸鋸で削って、そこに刃を埋めていく。そうすると、一枚の型ができるわけ。

あと、ツナギっていうのがあって。街並みはがきの切り目に、郵送の途中でめくれないように何ヶ所かつながってるところがあるでしょ。それがツナギなんだけど。
その部分を作るには、抜き型の刃をその部分だけ打ってつぶしちゃうんだよ。
で、その部分だけ刃がなくなっちゃうから、一回ツナギを作っちゃうと直せないんだよね、この刃をとっかえない限り。
これが基本的な、抜き型のしくみ。

で、その抜き型を機械にはめて、紙を一枚一枚抜いてくの、彼のところで。
その前に紙に絵柄を印刷するんだけど、彼に頼めば、もう全部やってくれます。
墨田区にあるんだけど、箔押し屋さんとか印刷屋さん、抜き型屋さんとか、いろんな業者が集まっていて、みんなで仕事回してるんだよね、職人の町っていうか。
――:
注文してこれは無理だよ、って言われちゃうことはあるんですか?
山岡:
それはまあ、あるよね。
細かいデザインとかになると、金属の塊を薬品で腐食させて刃を作る方法もある。
それよりももっと細かいのがレーザー。一瞬で紙を蒸発させちゃう。
起こし文で「鐘」って作品あったでしょ、教会の。あれはレーザー。
レーザーの凄いのは、こういう小っちゃい穴を抜くのに、穴の内側部分も一緒に蒸発しちゃうとこ。
刃で抜くのだと、内側部分も残っちゃうから後から尖ったもので突いて落とす必要がある。
1個だったらいいけど、いっぱいあったり、何枚もあったりすると、大変。
それがレーザーになると、そういうメリットがある。まあ、高いけどね。
起こし文「鐘」 撮影:横尾創氏(ソーファイン)
起こし文「鐘」 撮影:横尾創氏(ソーファイン)


デザインの刺激はいろいろな方面から
――:
その本は?
山岡:
「ブレードランナー」って映画知ってる?
また最近、新しいバージョンにしてやるみたいだけど。
その世界を作った人の画集。海外のシド・ミードっていう、工業デザインやってるイラストレーターなんだけどさ。
これ全部フリーハンドで描いてる。上手いんだよ。
これはもう、食い入るように見てたよね。上手いなぁ〜と思って。
その頃はやっぱり、夢中になってた。
これは割と影響を受けた。単純にグラフィックだけじゃなく、立体もやりたかったんだよね。
それで今みたいな、平面と立体の組合せが、なんか自分のテーマみたいになっていく。
――:
そちらは?
山岡:
これは京都の唐紙屋「唐長」の文様集。
こういうところに割とアイデアの参考になるものがあるんだよね。
これって、唐長って京都の唐紙屋さんが持ってる模様の型。
1色刷りで、デザインが素晴らしい。こういうセンスでなんか作りたいなっていうのがあって。

こっちの本は小村雪岱(こむらせったい)って、大正から昭和にかけての人なんだけど、この人の絵がいいんだよ。好きなんだよね、この凄く単純な感じの絵とか。昭和の鈴木春信なんて言 われてる。
この人、資生堂で広告デザインしてた時もあった、若いとき。
それと、泉鏡花とかああいう時代の作家の挿絵をやってる。
この人からも影響されてる。

あとは、昔の東京の写真資料本とかも。大概アマゾンで買えるじゃない、絶版でも、中古とかで。
――:
いろいろなジャンルのものがデザインのヒントや刺激になっているんですね!


山岡さんが母校で行っている「起こし文」講義とは?
山岡:
そうそう、桑沢デザイン研究所でたまに呼ばれて講義やるのね、学生に。それ用の資料がここに。起こし文はがきを作る手順の。
最初にこうやって、紙に立体スケッチを描いてアイデアを膨らませていく。どう立体にするか、考えなくちゃいけないよね。

紙に立体スケッチを描いてアイデアを膨らませていく

で、次にはがきの大きさに原寸大で描いて。

はがきの大きさに原寸大で描いていく

これをスキャナで取り込んで。
実際今度はイラストレーターとかああいうもので、まず抜き型を全部考えて。
で、だいたい構図が決まったら、次にイラストレーターでダーッと絵柄をカラーで描いちゃう。
イラストレーターだったら柱とか屋根とか簡単に作れるし、色も調整できるから、大まかなイメージをつかめるでしょ。
で、クライアントがいる場合は、これで一回プレゼンすれば相手もわかりやすいからね。

イラストレーターで絵柄をカラーで描く

これでOKとなれば、その絵柄を下絵にして、フォトショップで描き直す。
そうすると、筆などの機能があるから、全部線の強弱が出来るじゃない、ギュッとやれば太くなるし、軽くやれば細くなるし。手描きの味わいが作れるから。

フォトショップで手描きの味わいに

手書きの絵柄ができたら、実際の厚さの紙にプリントして、確認するの、ちゃんと折れるかどうか。
で、これで絵柄面は完成するんだけど、今度、切手面を作んなきゃなんない。
切手面には折り方の完成図を載せるんで、作ったダミーを写真に撮って、これにイラストレーターで線をのっけていく。
この完成図がないと、受け取った人が作れないからね。で、それを縮小して。

切手面に折り方の完成図を載せる

これまた話が違うけど、さっきいったツナギってさ、刃を入れないで残す部分。
それ、めくれないようにどこを残すかって、結構気を遣うんだよね。
あんまり多いと、ちぎるとこが増えちゃって作る人が大変。
だからそれがなるべく少なくて、なるべくめくれないようにって、結構考えるよ。

で、これが抜き型屋さんに渡すデータ。抜き型屋さんがこのデータを使って、抜き型を作ります。

抜き型屋さんに渡すデータ

でこれは、完成した版下。

完成した版下

これを今度、四六判の半裁サイズに配置した版下を作り、印刷用データが完成。
で、そのときの配置は印刷屋さんに聞くんだよね。同じような色はなるべくこっち方向に並べてくれ、とかね。なんかいろいろあるんだよ、そこまで俺も詳しくわかんないけど。

で、印刷が上がったら抜き加工屋さんが裁断して、一枚一枚型で抜いて、持ってきてくれる。
――:
街並みはがきの絵を描くときは、立体にした時のことを考えて描いてくんですよね?
山岡:
そう、だから絶えず何回も何回もダミーを作ってる、途中途中で。
――:
あ、それで組み立ててみて、修正して?
山岡:
例えば、背景が平面の状態だとよく見えてるのに、立体にすると隠れちゃったり。そういう調整を何回も何回もやってたりする。で、だんだんこう、わかってくるんですよ、慣れてくると。
――:
作っていて面白い点はどんなところですか?
山岡:
最初に始めるときって楽しいよね。まだ道が広がってるから。いろんなやり方があるから。
――:
学生さんは実際に作ったりするんですか、講義を受けた時に。
山岡:
そうそう、話してるだけだとみんな寝ちゃうから。3時間の講義なんだよ。
だからワークショップの時間を設けて、材料をみんなに配って、実際に手を動かして作ってもらう。

それやると、意外なんだけどね、結構そういう作業をやってないんだよね、学校で。今、みんなパソコンだから。
だから、やって楽しかったとか言われる。そんなの当然やってるだろうとか思うんだけど(笑) 意外にやってないんだよ、デザイン学校の学生でも。
――:
桑沢デザイン研究所はどんなところ?
山岡:
服のデザイナーだった桑沢洋子という人が、ドイツのバウハウスっていう教育思想に共鳴して、デザイン学校を日本にも作ろうって。渋谷と原宿の間の国立代々木競技場のそばにあります。
で、もともと服飾のデザインから始まったんだけど、そこからだんだんグラフィックとか工業デザインとかに広がっていって、科が増えていった。

俺は一応、グラフィックデザインで入って。
俺たちの時には、普通で2年間。で希望すると、試験を受けてもう1年研究科というところに進学できる。
研究科になると自分たちの部屋があってさ。で、そこにいろんな現役のデザイナーの先生が教えに来てくれるから面白かったよ。

谷中に朝倉彫塑館てあるの知ってる? 朝倉文夫っていう彫刻家がいたんだけど、その人のアトリエ兼住居が今美術館になってる。
その朝倉文夫の娘さんが、朝倉摂さんといって、この前亡くなっちゃったんだけど、舞台美術とかやってた人でね。
その人にも、研究科で習った。その摂先生が子供の頃住んでた場所のそばに、偶然に俺も今住んでる。

そういういろんな人が来てさ。で、学校の中だけじゃなくて、例えば摂先生は舞台美術やってるから、ちょっとみんなで行こうってさ、自分がやってる演劇の舞台の通し稽古とかに学生を連れていって見せてくれるんだよね。
そういういろんな体験ができた、桑沢では。

で、今、長女が桑沢デザイン研究所に行ってて、3年生で。
話を聞くと、だいぶ変わっちゃって。
俺たちの時って、学生の年齢差がすごくあった。10歳以上年上の人とかもみんな一緒にやってたから。そういうところが面白かったんだけど。
今は、高校卒業して現役で入ってくる人が多いし、やっぱおとなしいんだよ、講義してても(笑)
――:
娘さんは山岡さんの講義を受けられたことはあるんですか?
山岡:
いや、受けてない。ちょうど合わなかったんだよね。去年は俺やらなかったから。
――:
それは惜しいですね。
それにしても、ご家族みなさん、デザインを生業にされる方が多い家系なんですね。
山岡:
うん、次女も今高校2年なんだけど、そっち方向に進もうかなって。


おもわず「ん!?」 起こし絵に巧みに仕掛けられた奥行き表現のマジック
起こし絵「夢のあと」 撮影:横尾創(ソーファイン)
起こし絵「夢のあと」 撮影:横尾創(ソーファイン)
山岡:
そうだ、起こし絵って見たことある? 最近作ってないんだけどさ。
一番細かいやつはこういうやつなんだけど、すごい奥まであるでしょ?
――:
ホントに! 奥行きがすごくあるように見える!!
山岡:
どうしてかわかる? 実際の奥行きはそんなにないのに。これ、照明をつけるとこんな感じ。
――:
うわぁ、雰囲気がさらに!
山岡:
実はこれ、鏡が1枚だけ仕掛けてある。いろいろな角度から見てみて。
――:
どこに鏡が設置されてるのかわからないですね!
山岡:
よ〜く見ると、鏡に映ってるものって被写体が必ずあって。
――:
そうか、左手前にあるものが奥にも見えますね。
山岡:
そうそう、この奥に写ってるのがこの手前にあるんですよ。
じゃあ鏡がどこにあるのかっていうと、この床が千鳥格子になってるでしょ。その線上に鏡が立ってる。わざとこの45度の線で鏡の存在をごまかしてるんだよ。

あと、ここに吊ってあるシャンデリア、球の中が光ってるでしょ。それ、そこに光源があるんじゃなくて、上の別のとこにあって、そこから光ファイバーでつなげば、光源の光がファイバーを通って、断面のあるシャンデリアで光るようにできる。ここの光もそう。
――:
使用しているLEDは1個だけ?
山岡:
10個くらい使ってるかな。それで、このシャンデリアだけだと暗いから、天井にもLEDを入れて明るくしている。
細部まで精巧に作り込まれています/ 起こし絵「夢のあと」 撮影:横尾創(ソーファイン)
細部まで精巧に作り込まれています/ 起こし絵「夢のあと」 撮影:横尾創(ソーファイン)
――:
素材はなにを使って?
山岡:
ほとんど紙。こういう扉の枠は木ね。あと、扉に細い桟があるでしょ。これは紙。これは透明の塩ビ板を、紙の桟でサンドイッチしてるの、両面から。そうすると桟があるように見えるでしょ。で、最後の仕上げで、わざと汚すわけ、パステルの粉で。そうすると、時代が出てくる。

こっちの額の中には絵があるじゃない?あれは切手なんだよ、本物の。だから、あれ剥がせば普通に使えるよ(笑)

あと、この彫刻の胸像あるでしょ。あれは、プラモデルの兵隊を改造して、髪の毛増やしてさ。こういうシャンデリアのガラス玉、こういうのはビーズ。浅草橋に行けばいっぱいあるから。
――:
完成するのにどのくらいの時間が?
山岡:
これは時間かかって。半年くらいやってたね。
起こし絵はね、同時に2個作ることもある。あとからもう一個作るのはすごく大変だから。同時に作ればさ、割と楽じゃない。
この1個はね、或る社長さんが買ってくれた。
――:
どの作品も2つずつ作るんですか?
山岡:
なるべくは。1個しかないのもあるけど。
あと、これは宿命なんだけど、ずっと仕舞っておくと、鏡ってどうしても汚れが付いたり、カビが生えたり。
で、鏡の表面にそれが出ると、鏡の存在がすぐわかっちゃうんだよ。だからメンテナンスが大変。それで、鏡が交換できるようにビス止めにしてある。

あとね、その鏡に特徴があって。
洗面所にあるような普通の鏡ってさ、ガラスの裏側に反射材があるでしょ。
だから、鏡の表面にペン先を当ててみると、ガラスの厚み分、ペン先が離れて映るでしょ。
起こし絵で使ってる塩ビ製ミラーは、表面が反射材になってるの。だから、鏡にペン先を当ててみると、ペン先がくっついて映る。これを使うから起こし絵の仕掛けが出来る。それに塩ビ板だから、カッターで切れて加工が楽なんだよ。
ただ、厚みがないんで、ちょっと歪んでると、映ってるものも歪んじゃう。だから広い面には使えない。
その作品も結構ゆがみ出てるのを、調整してるんだよ。
起こし絵の製作工程 提供:山岡進氏
起こし絵の製作工程 提供:山岡進氏
山岡:
これ作るのは、最初に図面から始めてさ。ちゃんとこの鏡に映すものを考えなきゃいけないから。
で、簡単な模型作って確認する。余計なものが映らないように。
だから、結構、図面でちゃんとやっておかないと、後が大変。
起こし絵の製作工程 提供:山岡進氏
起こし絵の製作工程 提供:山岡進氏
山岡:
で、材料になるこういういろんな材質を探してくるのは面白いよ。
だから、やっぱり捨てられないんだよね。いろんなものを取っておく。
――:
西洋の建築もお好きなんですか?
山岡:
そうだね、それもやっぱ、こういう古いやつ。
今の建築って、どんどん簡素になってきていて。それもいいんだけど、やっぱり昔の建築の方が味わいがあるね。
それと、これ(起こし絵)も架空の題材なら好きに作れる、別にモデルがあるわけじゃないから。
手術用のメスも道具に!? ジャンルを超えたあらゆるものが道具・材料に!
起こし絵「坪シリーズ」
起こし絵「坪シリーズ」
山岡:
材料はいろいろ取ってあるんだよね。
取っておいてもどこに置いたか覚えてないと使えないから、結構捨てたりもしてるけど。

この作品の竹垣は、焼き鳥の竹串を削って竹の節を作ってます。
あとこの細いすだれは、元結(もっとい)っていう、紙縒り(こより)よりももっと細い、お相撲さんや芸者さんが髪の毛結うのによく使うやつを使ってます。
そういうのが文房具屋さんで売ってるから。紙製だから色付けできるし。

あと、こっちの奥に襖があるでしょ。その取っ手は、昔の携帯電話のスイッチの内部にある基盤の部品。
携帯電話のデザインもやってたから、よくお店に店頭展示してあった携帯電話のサンプル(試作や店頭展示などのためにつくられる実物大模型)、ああいうのを結構もらってて。
あれをばらすと、スイッチの接点が基盤に貼ってあって。それを裏返すと、真ん中がへこんでるからちょうど襖の取っ手に見えて。それを使ってるんだよ。

そうやって、なにが材料になるかわからないから、どんどんガラクタが増えてくよね(笑)
製作に使われる様々な道具
製作に使われる様々な道具
山岡:
道具では、こういう道具、カッターとかピンセットとか好きだから、増えちゃう。
これは、カッター代わりに使ってる手術用メス。
東急ハンズとかアマゾンでで売ってるんだよ。
それで、いろんな刃先があるからね。普通のデザインカッターよりも刃先が折れないし。

それから、普通の水性ボールペンの使い切ったやつあるでしょ、あれ折り筋(起こし文の折り目)作るのに使えるんだよ。
定規使って紙にこすれば、折り筋が簡単につくでしょ。

これは、ワイス・ワイス トゥールス店にメンテナンスに持ってく道具箱。なんでも対応できる(笑)
製作に使われる様々な道具
製作に使われる様々な道具
山岡:
こっちは、普通のカッターに比べて、刃の厚みが薄いんだよね。
刃が薄いと、厚いもの切るのに、どんどん入りやすい。
刃の幅もね、いろいろ出てきてるよね。
これは梱包用で売ってるやつ。これはその中間の、とかね。

これは、真ん中がゴムになっている定規。何もしない状態だと、反ってるから隙間があるじゃない。けど、ゴムの部分を体重かけて押さえると、下にピタッとくっついてずれなくなる。
他にも、こういう丸穴を開けるためのポンチとか、紙湿らせるために使う霧吹きとか。

今は、ネットで家にいながら買えるから、ついつい買っちゃうんだよね、いらないものも(笑)
こういうの探すの面白いよね。

――:
道具も種類が本当にいろいろあるんですね。 意外なものがたくさんあってびっくりしました!
山岡:
というような感じで作品を製作してます。
――:
本日は素敵な作品や道具をたくさん見せてくださり、また、貴重なお話を沢山お聞かせくださり、本当にありがとうございました。
製作の裏側を垣間見ることが出来て、より一層、起こし文や起こし絵の作品を見る楽しみが増えました!!





見るほどに味わい深い情景の起こし文。
見入ってしまうほどの精巧さと巧みな仕掛けが面白い起こし絵。
魅力的な山岡さんの作品たちは、東京ミッドタウンのWISE・WISE tools店でご覧いただけます。
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