高田 晴之 TAKADA Haruyuki

木地師 / 石川県 輪島市  Woodwork artist / Ishikawa Pref.
1968年 広島県出身
武蔵野美術大学卒業後、輪島漆芸研修所で漆器製作を学ぶ。その後、椀木地職人に弟子入りし、4年の修行を経て独立。
2011年 清州国際工芸公募展  銀賞
  高岡クラフトコンペ  優秀賞
素材の持ち味を生かした質感とシンプルなフォルムは、現代の暮らしにも良くなじみます。


使い手への思いが詰まったおいしくなる器 WISE・WISE toolsのスタッフも愛用させて頂いている、高田さんの銀杏椀。
銀杏の木で挽いた拭漆仕上げのお椀は、黒漆とは違った木の表情を生かした風合い。使いやすさと美しさを兼ね備えた形の追求には余念がなく、素材の持ち味を生かした質感とシンプルなフォルムは、現代の暮らしにも良くなじみます。

After graduating from Musashino Art University, studied lacquer-ware production at The Institute of Wajima Lacquer Arts. Following these studies he became a pupil of wooden bowl making, studied for 4 years and then set out on his own.
In 2001, he received the Encouragement Prize at the Takaoka Craft Competition.
He devotes himself to the pursuit of shapes that exhibit both easy-use and beauty. Natural textures and simple form are in harmony with modern lifestyles.

高田さんが工房を構えるのは日本を代表する漆器の産地、石川県の輪島市。
漆器製作は大抵が分業化されていて、大きくは器のベースをつくる「木地師」とその器に漆を塗る「塗師」、器に加飾する「沈金」「蒔絵」などに分かれます。
高田さんは椀木地師。武蔵野美術大学を卒業後、輪島漆芸研修所で漆器製作を学び、椀木地職人に弟子入り。その後4年の修行を経て独立しました。

椀木地業の傍ら、木を削り、漆を塗る、一貫制作による漆器作りにも取り組んでいる高田さん。
その作品は木地師ならではの視点に溢れています。
代名詞とも言える銀杏(いちょう)のシリーズ。
銀杏の木は柔らかく、漆器に使われることは少ない素材。反面、その柔らかさゆえに漆を良く吸い込みます。
高田さんはその特徴を活かし、木目がうっすら見える「拭き漆」で仕上げ、銀杏の美しい表情を生かしました。
素材がそのまま表に現れるデザインなので、木地の精度の高さも試されます。 更に、表面に細かな千筋(せんすじ)を施し、柔らかく傷つきやすい銀杏の表面を保護しながら、趣ある質感に仕上げています。

“木と漆の良さを直に感じられるよう、質感を大切に温もりのあるうつわづくりを心掛けている”という高田さん。使いやすさと美しさを兼ね備えたフォルムにたどり着くまでには、いつも苦心されるようです。そうして出来上がった作品には、うつわ作りに対する高田さんの真摯な姿が映し出されています。

朱の本漆を刷毛塗りにて仕上げたお椀は刷毛塗り独特の風合い。手に馴染む絶妙なサイズ感は、高い技術とセンスのうえにこそ生まれるものです。
汁椀としての用途だけでなく、小どんぶりや煮つけの器など、見立て次第で用途が広がる使い勝手の良い器です。

沢沿いの道の途中にある、高田さんの工房。ところ狭しと木地が積まれた薄暗い工房の中、電球のライトに照らされてろくろを挽いている姿は、まるで御伽噺の世界のようでした。
高台椀や筒椀など、高田さんと私達のやり取りの中で生まれた商品も。根強い人気でロングセラーになっています。