AKI
AKIシリーズは、北東北のクリの木と北海道のナラの木を使い、産地と素材にこだわっています。
クリの木は腐りにくく水湿に強いことから幅広く家や木工に使われ大切にされてきました。
虎の毛皮のような木目が特徴のナラ材。
その中でも北海道産のナラ材はその美しさから最高級家具用材として海外に輸出されていたほどです。
パルプチップに姿を変えていた広葉樹を、誇れる「家具」に生まれ変わらせる。
目を覆いたくなるショックな風景。
数ある家具メーカーの中で︑ワイス・ワイスほど林業地を訪れているメーカーはない。そう自負しています。
私たちが初めて森へ入ったのは2008年、最初の地は岩手県岩泉町でした。
岩泉町は日本では比較的早い時期にFSCʀ森林認証を取得し、サスティナブルな森づくりに取り組む町。
この岩泉の森を案内してくれたのが岩泉町役場の今村篤さん。
そこで目の当たりにしたのは、育った広葉樹がパルプチップになっていく光景でした。
この目を覆いたくなるほどのショックな光景こそが、ワイス・ワイスが国産材を使って家具づくりをすると覚悟を決めたきっかけです。
木も、椅子も、新しく生まれ変わる
実はAKIは、1999年に既に誕生しています。
2009年にフェアウッド宣言をし、AKIに使う木材をまずは海外のフェアウッドに切り替えました。
本当ならば国産材に切り替えて新生AKIを作りたかったのですが、この頃はまだ“家具には輸入材”、これが業界の常で、あらゆる家具工場に断られ続けていたのです。それでも探し続け、ようやく出会ったのが国産の広葉樹を安定的に供給してくれる製材所、田鉄産業(有)の田口宗平・宗弘親子でした。
輸入材は扱わず、国産広葉樹専門の製材を生業として貫いてきたお二人には本気になって背中を押していただき、国産材についても多くを教えていただきました。「広葉樹は伐って生えてくる。循環できる範囲で上手に使うことが理想だと思います」
広葉樹の価値をもっと見直してほしいと願う田口さん親子。木の特性を生かして、人と木が安心できる関係を築いています。
更に、最高峰の木工技術を凝縮したAKIシリーズの製作を引き受けてくれたのは、北海道旭川市にある山岡木材工業(株)。ようやく国産材を使ったAKIが2011年に誕生。今では北東北のクリの木、北海道のナラの木を使って様々なデザインで展開しています。
日本の木工技術が凝縮された椅子
椅子は“小さな建築”と言われる。
特にAKIは、シンプルな椅子だが作るのに非常に高度な技術を要する。
山岡木材工業なくしてこの椅子は完成しない。
15個からなる椅子の部材は、一つひとつ職人の手で芸術品のように寸分の狂いもなく削り出される。
組み立ては“木組み工法”。木組みとは古くから神社仏閣などに使われ、受け継がれながら進化してきた日本が世界に誇る木工技術だ。
そして仕上げ。部材の接合部を感じない、まるでひと続きの木であるように見えるのは“さすり仕上げ”という技によるもの。木が育った年月以上に何世代にも わたって受け継がれていくように、職人たちの手間と思いが込められています。
“木を読む”家具職人の手仕事
家具の製作で大切なのは、“木を読む”こと。
完成されたときの木目の美しさ、節の位置などを頭の中に描きながら、木のいのちを無駄にすることなく部材を取るにはどうしたらよいかを、職人たちは長年の経験で見極めていきます。
「部材を削り出し、部材をつなぐための加工を施し、なめらかな表面にするために磨き上げる。」言葉にすると簡単ですが、1本の脚にしても微妙な角度や細かな加工が施されているため、繊細な作業が続きます。
切り出しで接合部分が一体になるよう削って面取りをし、カンナを掛けて表面をなじませ、パーツ同士を一体化していきます。
触れてもつなぎ目を全く感じさせない、滑らかな木肌が手仕事によって生まれます。
各パーツは木の第2の人生の輝きを放ち始めます。